BEFORE SUNRISE

いつもいつも目が覚めたら あれ、まだ朝かな 分からん
付けるモニターにお知らせのない知らせ 増える虚無感と無残な私
起き抜け書きかけの手紙 宛名ははてなマークのまま
こだま響く水、一雫 一人息子は酷い鬱
母さん、ごめんね でもここに居る日々に生きる意味が見出せない
勝てない果てない人生ゲーム
色褪せない紫陽花はない
滅亡の日は近い レッツゴー 今、未来は閉ざされた
枯れた妄想に呆れてヘヴィメタかけて怯えてた
中二病拗れたとみえた 夢はもう押し入れだ
どんな大人になりたいの? そんな困難に間違いを正す気にならず
暁、山吹色に染まる 神無月から葉月
誰とも盃 交わす気にならずに 摩擦に傾き 
間口を閉じ 明日にも癒す希望 無くしたよ
I gotta go out! 僕は人からこう呼ばれるようになる 
曰く 日曜日の居残り つまり 引きこもり

人生はいつだって一人きり 酷い霧の中を一息に 
進むようなものだって 君は言いました

暗いこの部屋を抜け出してしまいたい 
そんな思いには触れないで仕舞いたい
胃が痛い気がしたみたいだ、怠惰な私
現実は現実として額に入れ、綿密に鉛筆で描いた夢をくれよ 
筆もクレヨンも要らないから 気ままにただ、寝てたいんだ
今更固まった頭は馬鹿なままだ 裸の王様
働く気がないから宝くじで彼方海へ 
あなた抜きで アガサクリスティでも読みながら 
なんて運で勝つ妄想、もうとうに人生詰んでます 
応答せよ 応答せよ 虚空に呼びかける
もうどうにでもなれよ 人のなれの果てを見よう
誰も彼も楽しそうにしやがって
この暗い部屋にもやがて  太陽が明日の火を放って
石のカーテンも陽の中へ  希望が果ててもイーハトーヴォまで
総じてどうしてこうなったのかとこぼして
永久に底知れぬ闇を残して、書き起こしている
そうして、よも知れぬ神はこの試練を外に出ん僕に与えた
窓の外の幼稚園では上機嫌な幼児が延々と遊ぶ 
今日も元気に体操が始まり
空もお天気、太陽が交わる
聞こえてくるメロディーに背伸びして跳ね飛び回る健康児
沿道に咲いたデンドロビウム
の延長に見えるてんとう虫
子供達の天使の歌声響く
道路を挟んだ僕の部屋にて聞く

“レッツゴー 飛び出そう
レッツゴー 勇気出して
レッツゴー 今度こそ
レッツゴー いい事あるさ”

人生はいつだって一人きり、酷い霧の中を一息に
進むようなものだって君は言いました
だけど人は時として恋をして
誰かと同じ星を見て思いと視点交わす、心通わす
ほら、北風はやみ 今晴れ間に幸せが
触れない事もないとこに来たわけさ







BAND

昨日バンドが解散しました
あぁもう本当に解散しました
被害者みたいな顔をしていますが
ひたすらギター弾いてました
割と長い間やってきてたし
生きがいとまでは言いませんが
いかんせん着々とやる活動が
急に無くなったもんで落ち込んでるんです
勤しむべきものを愛惜しむべきでした
月日経ち月並みですが
失って初めて気付いたのは
1人じゃ何も出来ねぇ自分です
2分で崩れ落ちた積み木の塔に
登って気取ってたアーティスト

去年バンドが解散しました
あぁもう本当に解散しました
別に仲悪かったわけじゃないが
海外に最愛の人と行っちゃったり
まぁ、用が無ければ会うこともないわなぁ
絶え間ない他愛ない会話が愛おしいよ
1人は未だ最前線でライブ、最善を願うよ
もう1人は才能買われて
色んな人とやらせてもらってるみたいだし
残された僕には何が出来るかって
「思い立ってバイクの免許取りました」
って先輩に報告したら言われたよ
「完全に血迷ってるやん」
あぁそうさ、分かってるよ僕は完全に血迷ってるよ
血迷いに迷ってるアホって事くらい分かってるよ
血迷いに迷った午前3時府道29号通称臨海線を南下し
ファイナルファンタジー7みたいな泉北ファクトリーズで
寒そうに震えたのは気温のせいだけじゃない
でも人間、時には血迷わないと気付かない事があったんだ

モテたくて始めた音楽だが
モテなくても続けたのはただ
共に夢を描いた仲間がいたから
今さらながら思うよ
売れなくても一つ、また一つ
掴み取って握ったこの手には
何にも入っちゃいなかった
じゃあ一体何のため、やってたんでしょう?

もうギターなんて売ってしまおうかって
思う日曜に「もう一度ライブしてみませんか?」
って誘ってくれた人がいてさぁ、
本当、耳を疑ったね
泡沫へと消えた情熱とは裏腹で
くたばったケースの中に眠る
ループステーションを引っ張り出して狂う夢へと
再びくたばり損ないが歌うたいたいと 
不甲斐ないですが思った次第です
期待しないで、死体だと思って聞いてください
ループすると心の苦痛は和らぎ
ループすると言葉の宇宙に羽ばたき
ループするとループする頭痛にループする自問自答
基本事項に立ち戻って挑んでみようか
僕が音楽をやるのは何のため?
誰のため?金のため?自分のため?
理想は高くとも志がない
しがない介護職員の僕が歌うべきは何か知らない
分からないままに綴るノート
続く道路、進む どうのこうの言う前にまず
こんな僕を少なからず期待してくれる人がいて
少なからず待ってくれる人がいて
そんな人のためにこそ、歌いたいって
風に淀む ナデシコの花びらには
未来がチラチラ見え始めた頃
思い始めたんです 本当にありがとう

モテたくて始めた音楽だが
モテなくても続けたのはただ
共に夢を描いた仲間がいたから
今さらながら思うよ
売れなくても一つまた一つ
掴みとって握ったこの手には
何にも入っちゃいなかった
じゃあ一体何のため、やってたんでしょう?

モテなくてもやりたい
金なくてもやりたい
先、見えなくてもやりたい
間違いかも知れないって
幸せそうなリーマン同級生を見て、ふと思い
立ち止まって、振り返って、また歩き出す
自分には何かあると信じて
きっと伝わると信じて
イチからまた 見たまま ありのままを歌おう
また会おう友よ






BANRYU (motorcycle remix)

風立ちぬ峠 枯葉散る
なぜ走る? 我は何処 誰が知る
雨が昼、止めば行く
彼らしく 描けライフ 急かせバイク
出掛けた地球、照らせ マイルを目指せば、地図 開け ナイフを突き刺し 
行き先、打ち出し 口先の口出しは無用さ
無知な昨日、許したい今日
古びた木の揺るぎない様
崩れた字を綴ればいいよ
紡げ 太陽の方
愛欲のごとく ハイオクを注ぐ 足取りの孤独
国道は刻々と、よく速度落とすと苦労する
黙々と越す側道に届くドクロほくそ笑む
一瞬の判断が命取りのコーナー
急ぎがちのようだ 1人旅の空

耳を塞いで生き急ぐ街だ
知りもしない間、霧に潜む闇が軋み
どう在りたいか、君に問う明日
日にち追う先は、意識の旅だ

ライダー 咲いた涙の花
ライダー 不確かな愛の中

エンジンの震え伝う 
前輪の行方、先人を盗め
前進を続け 憐憫乞うなかれ
そうだ、羽を開いて飛ぶ 山へ
夜、奏で マフラーの咆哮に堂々と頂上を競争する様相だ
意気揚々と登場した魍魎は狂騒の形相だ
両方が了承した 明朝へ放浪さ
脳内にドーパミンを出し 
灯台がゴーサイン
大波、小波 空に境界をぼかし
永久にと走る 終わりのない勾配を
航海し 都会へとダイブ
数多照る星の彼方へ 天翔る鳥よ
あなたへと、またね
離れているからこそ、僕ら近づこうとする
いざ行こう、見よう 時代の虹を
期待をし希望照らすヘッドライト
世界は目の前に広がっているのだから

耳を塞いで生き急ぐ街だ
知りもしない間、霧に潜む闇が軋み
どう在りたいか、君に問う明日
日にち追う先は、意識の旅だ

ライダー 咲いた涙の花
ライダー 不確かな愛の中





LIFE SAILING

2000年から十余年  
朝からシュート練してた優等生も今や中年
「あの頃は良かった」って言うよね
いや、言いたくはないから
30の一歩手前
一歩前に出てあなたにエール送ります

やりたくない事はしたくないって
その鋭い目を向けた  移ろいゆく空も暮れた
くつろぎを繕い、やり過ごして年月を越し
ぶち当たる壁、乗り越える為
やりたくない事もやってきた
恥じたくなる事もあったでしょう
今また、月収25万を放り出して
泳ぎだした無職の海に社会の波は高い
マジで高いよ、最早溺れそうだから
これじゃまた、布団の上にとろけそうなあの頃に
逆戻りしたくはないから祈るよ、春よ来い
明日を背負い立ってやるぞ
おい、今に見とけよ

意気がって自称センスある人達の中で
自分もセンスあるフリをしてたのはなぜ?
それっぽい言葉、それっぽい格好
それっぽい、それっぽい、それっぽい
これっぽちも響かない
漠然とした理想、釈然としない日常
生活の為に自分の夢を捨てたあいつを
今はもう笑えないよ  叶えないならいっそ
包丁買ってトラックで街を一掃
したくなる気持ちは分からんでもないがな
愛がな、あるから  本当支えられてます
ふと、音楽なんてやらなけりゃ
今よりもっと輝けたんかなぁって思うけど
音楽があるから救われてる自分がいるのもまた、真実です

原発、尖閣、竹島、GDP
売れないCDに give me job!
就職率、投票率、利率、税金、年金
現金は無いけど、元気だけはありますから
考えれば考えるほど悟り開く子供達
夢を見る事もない大人達は言葉なし
死にたくはないから頑張る以外道はなし
頑張ること、それだけ
頑張ってやるだけ

母子家庭だった僕の遠足の弁当はスティックパン
バカにしたあいつを僕は無視したんだ
だけどそんなあいつは中学受験して今やMATSUSHITA
この歳になってもタワーマンションから見下ろされてます
いつになったら見返せるのか
未だ見当もつきませんが
どんな川の水もいつか変化し
やがてあの海に辿り着くんだ、絶対
限界はないさ、先は長いんだ
今はまだ霧の中、手探りで目指す海へ
描く見えねえ水平線はどこだ、僕はここだ
足を前に出し続ける限り近付くから
走り出し、限りない波みたいに歩みたい
漠然とした大海原を想像し
分厚い雲が覆うから
遠くから吹く逆風に臨むなら
押し戻されそうになりながら
有難いさ進む価値がありますから
一歩足を前に出すなら
沈んでも浮き上がれ、水を掴め、足を動かせ
諦めて何もしないでいたら変わらないから
頑張ってもがけ、あがけ
果てまで駆けあがれ、明け方へ

原発、尖閣、竹島、GDP
売れないCDに give me job!
就職率、投票率、利率、税金、年金
現金は無いけど、元気だけはありますから
考えれば考えるほど悟り開く子供達
夢を見る事もない大人達は言葉なし
死にたくはないから頑張る以外道はなし
頑張ること、それだけ
頑張ってやるだけ

叶わない、売れないと分かっていながら
ボロ負けすると分かりきっていながら
やるなら、あとはどんだけ頑張って
頑張って人の心動かせるかだろ

原発、尖閣、竹島、GDP
売れないCDに give me job!
就職率、投票率、利率、税金、年金
現金は無いけど、元気だけはありますから
考えれば考えるほど悟り開く子供達
夢を見る事もない大人達は言葉なし
死にたくはないから頑張る以外道はなし
頑張ること、それだけ
頑張ってやるだけ






CHILDHOOD

放課後今日は何して遊ぼっか?
ドッジして野球して、お前ンチでゲームしようぜ
え、なんでだよお前ンチでいいじゃん
え、俺ンチ?いや俺ンチはさぁ
ゲームとかもないし、漫画だってないし
誰もいないし、何も面白くないよ
だからさ、やっぱお前ンチで遊ぼう
ロクヨン買ったんだろ?すげーよなあロクヨン
それにお前の母ちゃんてすげー優しいしさ
たまにあのホットケーキ焼いてくれる時あるじゃん
あれすげー最高だよなあ、たまんないや
ってお前に言ってもあんま分かんないか

あぁもうこんなに暗くなってきたか
ボールももうだんだん見えなくなってきたな
俺はまだ全然大丈夫だけど
お前ら大丈夫なの?って塾忘れてたんかよ!
俺はまだ帰らねーよ
もうちょっと壁当てをしてから帰るから、大丈夫
明日の放課後も絶対に絶対、遊ぼうよここで
また明日

階段上がって短パンのポケットから鍵を出し
鍵を開けて誰もいない部屋につぶやく
ただいま ただいま!
部屋の奥からはうまそうな夕飯の匂いと
まな板の音が聞こえてきてさ
おかえりって笑うお母さんを想像し
今日こそはとつぶやく
ただいま 

またみんな先に帰ってってしまって
誰かが僕を呼びに来るんじゃないのかって
ずっとこの公園で待ってたんだけど
誰も来やしないな、まあ分かってたんだけど
それにしてもポケットに入れてた鍵を
どっかに落としてしまったみたいなんだ
ちょっと探すのを手伝ってくれよ
ってなあ、もう誰もいないか仕方ないな
帰ってくるの待とう  歩道橋の向こう
あの踏切が開いたら母さんに会いたいな
期待はしたいが意外な見間違いや
イライラ、もう嫌いだ

ふと目を開けば台所に立つ母の後ろ姿
ぐつぐつ揺れる鍋から出る湯気、手を伸ばせば触れる
夢ならばあと少し覚めないでくれ

階段上がって短パンのポケットから鍵を出し
鍵を開けて誰もいない部屋につぶやく
ただいま ただいま!
部屋の奥からはうまそうな夕飯の匂いと
まな板の音が聞こえてきてさ
おかえりって笑うお母さんを想像し
今日こそはとつぶやく
ただいま 

この間鍵屋に行って新しい鍵を作ってもらいました
小さいけれど立派な鍵です
失くした鍵はもう見つからないけど
この新しい鍵を大切にしていかなくちゃな
今日も鍵を開けてランドセルを背負ったら
あいつらが下まで迎えに来てくれるから
つま先を蹴ってめいっぱい空気吸い込み
振り返って言うよ
行ってきます






CATCHER IN THE RYE

ほら捕まえてごらんよって
お団子だった君は大人んなってもうおらんよって
あの日君を追いかけた
星が出た都会の扉  開けた彼らももしかすれば
この街のどっかしら可笑しな僕たちは
おざなりな愛を探してんのかもしれないな
じれったいが見せたいな、綺麗さ今も君は
消えちゃいたいくらいだよ、僕はもう
どうにもこうにも上手くいかないや
しがない世界さ、仕方ない
如何いたしましょう?
期待したような未来に迷うのは簡単だからさ、一息つこうか
向こうはどうだい?苦境は越えたかい?
そしてまた無情な日常をゆこうか
今はお互いに遠く離れているから
自らいつかは休み使うから
メールとか電話とか
フェイスブック
ツイッター、ライン、他、とかじゃなくてさ
会いに行くよ君に、話に行くよじきに
1MBじゃ足りない収まらない下らない暖かい話をしようよ
朝まで彼方へ語らえるあなたへ
宝です、僕の奥を温める仲間へ
じゃあまた、今度、また会える

なぁ、聞いておくれよ
あれから思うけど
なぜだかいつも言葉は少し足りなくて物悲しい
一度君をそこに共に連れていくよ

気がつけばもう日が暮れたよ
三日月はそっと近づいたろう
知らん間にあんなに離れていたよ
君から遠く、道半ばの僕
今ここはどっかよく分かんない
案内もない何の名もない道をただ歩く
ワルツはルーズだが歩みはスムーズさ
ブーツがぶつかってリズム刻む
さぁ、僕がこうしている間にも君は何をしてるだろうか?
家事をしてるかもな
多分乾いたシャツを手に取りアイロン当てるように
鍵をかけ1人、あるいは目のイエローの猫を抱き
手も眠そうな目を擦っている所かもな
余程じゃなきゃおよそそうだろうが
答えなくてもいいんだよ、今は
あなたが今何をしているのかを想像しながら歩くのが
たった今分かったんだ
笑ったあなたがさ、重なった頭ん中にやっぱあったんだ
だからさ、今メールとか電話とかフェイスブック
ツイッター、ライン、他、とかじゃなくてさ
会いに行くよ君に、話に行くよじきに
朝までに離れているあなたへ

なぁ、聞いておくれよ
あれから思うけど
なぜだかいつも言葉は少し足りなくて物悲しい
一度君をそこに共に連れていくよ





RIMBAUD

僕は防波堤に1人で立っていて
水平線に溶けて行く夕陽をじっと眺めていた
目に映る全てが染め上げられていく
あの時間をきっと君も経験したことがあるだろう
もうこの他に何も要らないやってくらい
心満たされていくのが手に取るように分かる

例えば遡ること数十億年前にもきっと
原始の海に今日と同じ陽が沈み
そこではトリケラトプスの兄弟が僕と同じように
 
満たされた気持ちで、その目に太陽を映し
そこに伸びる太古の森に住む猿の母親も
子供を背中に乗せて見とれている

その子供もやがて大人になり、新たな土地を求め海に出る
太陽が溶けていくその黄金の海に舟を浮かべ
我が子に魚の取り方なんかを伝えているんだろう
母親は丘の上からその海を眺め
夫と我が子の身を案じる その横顔もまた
赤く染められていたに違いない

視線の先に映る空には渡り鳥の一団が南へと飛び続け
真っ赤な夕陽の真ん中の黒い影
その姿に思わずシャッターを切ったのは
海岸沿いを走った列車の中、仕事を終えたばかり乗客のカメラマン
その向かいに偶然乗り合わせた失恋したばかりの女の子は
後にカメラマンと結婚することになるなんて思いもしないで
彼女もまた海に溶ける夕陽を眺めていた

車掌は新人にダイヤの確認を取り
新人はそれを聞きながら遠くに住む恋人の事を想い
その恋人は自宅の窓際に座り
同じ夕陽を眺めながら彼を想う
隣の部屋ではまだ幼さの残る少年が
遠い戦地で働く父親に向けてスカイプ
その父親はモニターの中、少年の肩越しに
見える夕陽を見て僕と同じように思うのだ


そうやって僕らはいつの時代のどんな場所でも
沈みゆく夕陽を眺めながらふと、誰かの事を思い
夕陽に染められた君の横顔は
例えようもないくらいに美しいんだろうなって
その短い時間を余すことなく堪能する

その限られた時間はおよそ46億年前から今日まで
限りなく数えようもない程に繰り返されてはいるが
限られた人生であと何回
あと何回こんな夕陽を見る事が出来るだろうか


僕が防波堤から海に溶ける夕陽を見ていた
丁度その頃、海の向こうでは水平線から太陽が顔を出し
同じように防波堤に立っていた少年の目に映る
その少年は朝日に目を奪われてじっと
その時間を一人、噛みしめるのだよ

夜明かしたカップルは海辺のカフェからそっと
やがて産まれくる子供を重ね合わせ
もう一度ここに来ようね、次は3人でって笑い合い
白み始めた空を眺める
空にはいつかの渡り鳥が夜を越え、海を越え辿り着き
羽を休めながら陽の光に体を暖められている

僕の夕陽は誰かの日の出
周り続ける地球の今もどこかで
陽が沈みそして陽が登り、沈み登りを繰り返し
僕が死んだ後も決して変わることはなく
この先もずっと、数十億年後にはきっとどっかの宇宙人が
誰かの事を思いながら夕陽を眺めている


そうやって僕らはいつの時代のどんな場所でも
沈みゆく夕陽を眺めながらふと、誰かの事を思い
夕陽に染められた君の横顔は
例えようもないくらいに美しいんだろうなって
その短い時間を余すことなく堪能する

その限られた時間はおよそ46億年前から今日まで
限りなく数えようもない程に繰り返されてはいるが
限られた人生であと何回
あと何回こんな夕陽を見る事が出来るだろうか

沈みかけてゆく太陽が
溶けていくこの海に
金色に染まるすべてのもの
見つけたよ そこにある永遠を




GALAXY EXPRESS 2015

ハロー
管制塔からギャラクシーエクスプレスへ
故郷をあとにする若者たちよ
暗闇に浮かぶ誘導灯が見えるか?
間も無く消えるが心配はいらないさ
宇宙を走るのに要らないさレールは
ケースバイケースさ、針路決めるのは君だ
色んな奴が君に色んな事を言うが
下らない詰まらない甘い声に耳を傾けるな
この広い銀河では上も下もないが
はたまたあなたは誰かと比べたがるか?
そうして光の届かない場所に落ち込んだら
どうか私の言葉を思い出して下さい
目を凝らして、腕を伸ばして
微かだが昴は必ずあるから
目を凝らして探せ、光を

ハロー
管制塔からギャラクシーエクスプレスへ
間も無くこの交信も止む無く途絶えるだろう
数多瞬いた銀河にあなたが今
ぽっかりと浮かんでいるなんて不安でいますか?
いたずらにひたすら身体を動かしていますか?
近付かん理想に焦燥感を感じていますか?
確かに何かになりたいと思う事は
素晴らしい事ですが、果たして何者にも
なれなくてもあなた自身の価値は変わらないのです
与えられたミッションは叶えがたいがきっと
唯一つ、この広い宇宙にたった一つ
あなただけにしか出来ない事があるのです
さあ、目を凝らして、腕を伸ばして
微かだが昴は必ずあるから
目を凝らして、腕を伸ばして
新しい時代のコペルニクスたちよ
この重力の法則を解き放って
掴め、光を

目を凝らして、腕を伸ばして
微かだが昴は必ずある
目を凝らして、腕を伸ばして
抜けろ、境界線  触れろ、夜明けを、さあ





雨zing Grace

通り雨は音も無くやってきた
変わってきた街の色がガラスに映っていた
座って見た窓に写る1枚の絵
お芝居の演出みたいだ、まるで
各駅停車の電車の中、携帯はまだ
鳴らないままだ
ぶら下げた傘、雫が乾かないからパラパラ払った
この雨はまだ、止みそうにないな
人混みがまた、動こうとしたみたいだ

君は思い出す
時が経つ早さで忘れていた記憶を呼び覚ます
より高くと鳥が鳴く空に星がまず
出始めた夕闇を雨の中テクテク歩いてく
その足にはお気に入りの黄色い長靴を履いて
一人傘を二つ、一つは君
一つは父の為に迎えに行く
お使いの道を歩いてランララン
都会のワンダーランド、不安は無い
家にいてもつまんない
止まんない駅の人波は、足早に行き交い
会いたいのに父はいない、寂しい
改札を出た父が君を抱いた時、君は泣き出してしまったね

雨、滲む街 晴れになれ
雨、滲む街 やめ

あの頃、僕らはいつも何かに夢中で
震える寒さも知らず、春風を待つ
暗くなるまで歌うように笑ったね
自転車で電車を追いかけて
ケンカして電話して仲直り
共に走った友よ、今、僕は思い出すよ
時代は変わって、公園はスーパーに
当然無くなってしまった
真っ赤っかに染まった空に立った
君の目は燃えたように見えた
そんな君も今は、自分の子供の目が宿した炎を見ている頃だろう

あれから、こうやって時が経って
今はこの雨の中、身を寄せ歩いている
そのようにまた、僕らの父と母も、かつてこの雨の中を歩いたんだ
そしてまた、次なる道の未知なる子供達へと
世代から世代へ受け継がれていく
デカイ絵を描いて次世代へ
何十年後、幽玄の扉を開いて見てみたいね
きっと君は未来で言うだろう
「未体験の夢みたいね」

沢山の事があった、本当に沢山の事が
今、少し振り返るよ ひと時の憩いよ
酷い様な辛い気持ちも、歳と共に少し、また少し剥がれ落ち
命も顧みない愛しき恋もあったよな
清しこの夜、雨の向こう 僕と同じように
そこにいる誰もが降られていた
雨は平等に全てを濡らしていた
不安定な僕のこの心も、そう思うと楽になるよ
寒い夜の孤独を覗くとどうだろう?
放課後の教科書は走馬灯のようだ 
もう、こんな夜は他の誰かしらと話がしたいな、期待はしないが
二階から母があなたを呼ぶ声が聞こえ、急げよ
それぞれの道を生きていけ

雨、滲む街 晴れになれ
暮れなずむ街 雨よ やめよ 晴れろ!

通り雨はいつの間にか止み
闇に浮かびあがった星たちが街並を照らすよ
世界を迎えようと、灯々と
家々に明かりが灯り、今宵も思い思いの夜を僕は帰るよ
迎える人がいなくてもいいさ
友達がそこにいて、この街は僕の家

ただいま